【雑記】なぜ「可視化」ではなくて「 見える化 」を使うのか?

雑記-Random Notes,アジャイル開発


ニュースをはじめ、様々な情報媒体で「見える化」という言葉が一般的に使われ始めています
政治家が見える化という言葉を使ったり、学生がウェブ上で衆院選を見える化したりと一般的に見える化という言葉が使われるようになってきました

「感染力2倍」想定して医療体制整備へ…首相「幽霊病床の見える化を」 - 読売新聞オンライン
衆院選「見える化」で投票率アップを~学生がウェブ上で取り組み - yahoo ニュース

見える化が一般的に使われるようになったからこそ、その言葉を不思議に思う方たちも増えているようです
例えば、TwitterなどのSNSで見える化と可視化を組み合わせて検索すれば「見える化ってなんだ 可視化と言え」「「見える化」、可視化を耳で聞いて分かりやすいように言い変えた言葉で、まあ口語なんだろうけど、一定層に普及した結果文章にも使われるようになったのがいけない。」など見える化という言葉に対して否定的な意見も多くみられます
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実際、私自身が初めて見える化という言葉を聞いた時もそう感じましたし、日本語のイントネーションや言葉の羅列的にもちょっと気持ち悪いなぁなんで可視化じゃないんだろうと疑問に思うところや感じることがありました
しかし、ゲーム業界で働いているうちに様々な開発プロセスを通じ「見える化」という言葉はとても意味のある重要な言葉であるということが理解できましたし、私自身も見える化という言葉を使います
このページは見える化についてもう少し理解が広がればいいなという気持ちから書いてみました

見える化の歴史

見える化というの歴史を辿っていくとかの有名なトヨタという会社にたどり着きます
そして、トヨタはトヨタ生産方式という生産管理システムをあみ出しました

トヨタ生産方式はムダの徹底的排除の思想と、造り方の合理性を追い求め、生産全般をその思想で貫き、システム化した生産方式のことでこの生産方式が世界中で評価されており、ScrumXPなどのアジャイル開発の先駆けとなった生産方式のことです

トヨタ生産方式では「問題を見えるようにする」という管理方法があります
具体的にどう問題を見えるようにするのかというと、異常があったときにアラームで知らせたり、赤色のライトが点滅したり、ホワイトボードなどで作成した各種の管理版を活用することで異常の判断や作業の遅れや進みなどを「自然と目に見える」状況や「見ようという意思に関係なく状況を把握できる」状況を作ることで問題を見えるようにしています

これをトヨタ生産方式の目で見る管理といいます
目で見る管理とは

異常が発生したときに、誰もが異常が発生したと判る仕組みのことです。単に効率化だけを追求するだけでなく、異常が発生したときにすぐに判るようにすることもトヨタ生産方式では大切な要素です。
異常が誰でもすぐに判るようにするために、誰もが異常と判る工夫、つまり異常の顕在化を行うことが大切です。
引用 - 物流いろは 目で見る管理 より

この目で見る管理という言葉が変化し、皆さんがよく耳にする「見える化」という言葉になりました
(諸説ありますがトヨタ自動車による業務の改善活動の観点において初めて登場した言葉でトヨタ生産方式の「問題を見えるようにする」が見える化の語源となっています)

では可視化はどういう意味でしょうか?

人の目には見えない事物や現象を、映像やグラフ・表などにして分かりやすくすること。見える化。ビジュアライゼーション。ビジュアリゼーション。「エネルギーの損失を―する」
引用 - goo辞書 可視化(かしか) の意味

つまり、可視化は見えないものを見えるようにすること、見える化は常に確認できる状態にしておくこと
どちらも見えるようにすることではありますが言葉の持つ目的や意味が全く異なります
そのため、見える化はの見えるという言葉がとても重要なため、文字として残り、ビジネスの場では可視化という言葉ではなく「見える化」を使っているのです
実際、海外では mieruka という言葉をビジネス用語としてそのまま使用しています
wordsenseのDictionaryによると

見える化: Literally means "making visible." Sometimes translated as "visualization," it is a management concept used by Toyota and other Japanese organizations. In addition to presenting problems and plans in an easily understandable visual form, the concept includes the goal of greater transparency and information sharing among employees and/or stakeholders in order to increase the organization's effectiveness.
引用 - mieruka (Japanese)

和訳
見える化。文字通り "見える化 "のこと。「可視化」と訳されることもあり、トヨタ自動車をはじめとする日本の企業が採用しているマネジメントの概念である。問題点や計画をわかりやすく視覚化することに加え、従業員やステークホルダーの間で透明性を高め、情報を共有することで、組織の有効性を高めることを目的としている。

可視化という言葉も訳されている場合もありますが可視化の意味を持つvisualizationだと言葉のニュアンスが正しく伝わらないため、海外でもmierukaという言葉が使われています

mieruka以外にも日本語が英語になったものもあります
たとえば改善という言葉は英語圏にはない言葉だったため、ビジネス用語としてKaizenという言葉を使っています

そういったように無理やり、母国語に変換することをせず、その言葉をそのまま使うことによって言葉の微妙なニュアンスの違いが間違って伝わらないように多くの人が見える化という言葉を使用しています

過去にもそれについてTwitterで軽く触れたことはあったのですが
ここ最近**見える化**についてなんでそんな言葉を使うのという質問をよくされたこともあったのでまとめてみました
なぜ、見える化を使うのか?どういった意味があるのか?そういった疑問の手助けに少しでもなれば幸いです